
格差の話の中で私が将来の我が国を考えたとき、最も危ぐするのが、違法に近い派遣や日雇いによる人材の枯渇である。これまでの日本企業は、終身型雇用を前提に正社員を雇用し、長い目で見て、社内で人材を育成してきた。これが我が国企業の高い技術力、勤勉性を支えてきたと言える。
昨今、「コスト削減」を目的として、正社員を派遣などに切り替える動きが進んでいる。これでは会社が将来必要とする人材は育たない。また、日本社会にとっても、こうした動きは大きなマイナスであり、企業の社会的責任が大きく問われている話ではないだろうか。ワーキングプアは、現状でも大きな問題だが、将来のコストを考えれば、さらに大きな問題で
そもそも、労働者派遣法が規定する派遣業務は、人員の増減が激しい(たとえば通常は100人の社員でやっていけるが、一時的に150人がどうしても必要という場合など)時において、認めているもので、コスト縮減のためではない。コスト縮減を人件費でやることを、そもそも認めていないのだ。従って3年を超える同一の派遣は認めていない。しかし、それが多くの場合、職場内の名目上の人事異動とかさまざまな手段を講じて、長期の派遣を続けている。
これが、正社員の数を減らし、生活レベルの上昇を抑え、引いては個人消費の冷え込みを招いている。自分さえ良ければという企業が増えたおかげで、経済全体の縮小を招いているのである。
あくまで、民間の話ということを言う方もいる。国際競争力を高めるためという方もいる。だが、何のために国際競争力を高めてもらい、税の優遇措置を設けているかといえば、国民の生活レベルを向上し、働く人たちが豊かになるためである。このままでは、派遣制度自体を大きく考えねばならないだろう。経営者の賢明な判断が必要だ。
このことに気づき、有期契約社員を正社員に切り替える会社も出てきている。こうした会社をバックアップする税制、こそくな会社に制裁を科すような税制の検討をしていくべきだ。